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平成15年11月20日(木) |
三井物産(8031)
中期4ケタ入りが目標、PBR1.4倍で割安
三井物産はモルガンスタンレー証券が、リストラ効果などを評価し、目標株価を900円、来期は4ケタ入りを狙う展開も期待できるとして推進の意向を明らかにしている。PBR(株価純資産倍率)は1.4倍と商社の中でも割安な水準にあることも魅力だ。
同社の場合、他社と比べて遅れていた不採算事業の見直しが進み、2005年3月期の利益は大手商社の中でも相対的に高い伸びが見込まれる。
前期の連結決算では関係会社の赤字額合計が711億円に達した。このうち半分強は資産の減損など一過性の損失だが、他の大手商社の関係会社赤字額が2000億円前後に減ったのと比べると、リストラの遅れが目立っていた。
しかし4月に社長直轄のタスクフォースを設置し、不採算事業の洗い出しと整理・統廃合に向けた協議が本格的に進んでいる。今期の会社側の業績予想はこれに伴う200億円前後のリストラ費用を織り込み済みだ。
今期に純利益が増える主因は、固定資産の減損や株式評価損といった特別損失の減少だが、来期も不採算事業の整理が進み、リストラ費用が減って大幅な増益が見込まれる。来期のROAは1.3%、ROEは9.1%と大手商社では最高水準になりそうだ。
各部門の独立色が濃いのが特徴だが、現場で俊敏な展開ができるプラス面がある一方、本部の統制が利きにくい面もある。今期からはグループ・プレジテントをやめ、社長と18人の営業本部長が直結するフラットな組織を導入し、来期からは国内支社の独立採算制の廃止を決めるなど、トップ主導で改革の芽が育ってきている。
総合商社の株価を評価する代表的な指標である株価純資産倍率(PBR)は、昨年8月以来、ライバルの三菱商事に0.2ポイント前後の差を付けられている。リストラの遅れに政府開発援助(ODA)絡みの問題も響いた。
しかし、格差はリストラによる業績改善見通しが浸透し、資産効率の高さが再認識されれば消えよう。
関係会社のリストラにメドが付けば、次は来期からの中期経営計画が注目される。世界最大の鉄鉱石権益を持つリオドセに対する1000億円規模の投資で一般と事業基盤が強固になった金属資源事業や「サハリン2」など大型のプロジェクトを抱えるエネルギー事業、リストラ後の化学品事業は、総合商社でもトップクラスの収益規模と資産効率を持つ。
株価は昨年11月13日の525円と今年5月21日の539円でWボトムを形成、チャート的には上値をうかがう形になっている。昨年5月の高値927円を抜けば、1000円大台での活躍となろう。
日本トイザらス(店頭:7645:100株)
利益重視の取り組みが奏功・UBS証が3000円目標
今期予想PERは専門店平均を下回る
日本トイザらスは水準訂正の余地が大きいとして、市場筋の関心を募らせている。7月中間決算発表で粗利益率の改善を確認、通期業績予想は据え置かれたが、利益上振れの可能性は高い。UBS証券が3000円目標で買い推奨のキャンペーンを行っている。
既存店増収率は前年比マイナスで推移しているが、8月の客単価は前年同水準へと回復。商品分野では特にベビー用品が好調。ペビー専門店「ベビーザらス」の新規出店が中期的に売り上げ拡大に寄与しそうだ。大株主の日本マクドナルドも今12月期下期には営業増益に転じるとの見方があり、こうした長年売られてきた小売株の巻き返しが進むとみられる。
同社は米国トイザらスの日本法人で玩具小売の最大手。2003年7月中間期の経常利益は前年同期比37%増益の11億6100万円となり、会社計画を約2億6000万円上回った。
今上期は目立ったヒット商品がなかったことや、単価の高いTVゲームの売上構成比が低下したことから売上は計画末達となったが、@プライベート・ブランド(PB)商品の拡販、A取引条件の見直し、B機動的な価格変更による在庫のコントロール・・・などにより粗利益率が31.4%と前年同期比0.4ポイント改善(計画比では0.9ポイント改善)するとともに、広告費の抑制などで販管費率も29.5%と前年同期並みに抑えたことが奏功した。
会社側では、クリスマス商戦が不透明なこともあり、2004年1月期通期業績を期初計画の6%増収、5%経常増益に据え置いた。
大手シンクタンクでは、現在取り組んでいる@店舗再配置、APB商品の拡販、B中国物流拠点の活用、C電子入札購買・・・などによる収益性改善が下期も続くとみており、2004年1月期の経常利益は前期比11%増益の88億円と会社計画を5億円上回ると予想している。
2005年1月期は14店舗の出店と店舗再配置による既存店の活性化で、今期予想比8%増収を見込むとともに、今期と同様に収益性の改善が続くと見ており、経常利益は同10%増が見込まれる。
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