平成17年06月23日(木)


アサヒ飲料(2598・500株)

一段の飛躍を目指す、日興シティ証券が1350円指向


 アサヒ飲料は業績好調を背景にディフェンシブ相場での好材料銘柄として、再度人気化しそうな形勢にある。日興シティグループ証券では投資評価を「2M」(中立)から「1M」(買い・中リスク)を継続、腰入れの構えを見せている。目標株価を1350円に置いている。

 業績はV字型回復が続いている。2002年12月期以降の大幅なコスト削減が奏効し、04年12月期は単独経常利益が過去最高を更新した。今期は新規に2つのブランドを立ち上げ、一段の飛躍を目指す。

 発売120周年を迎えた炭酸飲料「三つ矢サイダー」が前期に大ヒットした。長年親しまれてきた味は変えずに原料にこだわったリニューアル戦略が成功した。

 「三つ矢サイダー」の復活に加え、夏季の記録的な猛暑が追い風となり、前期の単独営業利益は前々期比2.9倍の81億円に拡大した。

 もっとも、前期が好調だった理由はそれだけではない。02年12月期以降に進めてきたコスト構造改革で、利益体質に生まれ変わったことが大きい。

 同社は売上高が減少するなか販管費ばかりが膨らむ悪循環に陥り、02年12月期に38億円の営業赤字に落ち込んだ。そこでまず取り組んだのがコスト管理の徹底。商品を自社工場で生産する割合を示す自社内製造比率を02年の48%から03年には53%に引き上げ、原材料費を大幅に圧縮した。

 また自動販売機の不稼働台数の割合を04年で5.6%と02年より3.9ポイント下げ、リース料の支払いを抑制した。前期の売上高販管比率は54.7%と、02年12月期比4.5ポイント低下。製造コスト削減を販管費の増加が帳消しにする悪循環を断ち切り、売上高営業利益率は4%と03年12月期に比べ2.5ポイント上昇した。

 05年12月期業績(非連結)は、経常利益が前期比13.2%増と2ケタ増益を予想しており、滑り出しは好調だ。3月30日に新発売したスポーツドリンクでSUPER H2O」が発売2週間にして、年間計画(500万箱)の16%に相当する80万箱を突破。

 同社のスポーツドリンク・機能性カテゴリーでは史上最速のスタートとなった。まだ販売から間がなく、清涼飲料水の激しい競争を考慮してか、同社では販売計画を変更していないが、よほどのことがない限り上方修正する場面がありそうだ。

 市場ボリュームの大きな主力の缶コーヒーでも、「WONDA」シリーズが好調に推移している。1〜3月期の累計販売数量は前年同期比約20%増。中でも「モーニングショットに次ぐ主力ブランド」を目指して1月に投入した「WONDA SHOT&SHOT」の販売数量が、年間計画300万箱に対して既に200万箱を超過。

 こちらも計画の上方修正の可能性十分といえる。このため市場では、「WONDA」シリーズ全体の年間計画2470万箱(前期比4%増)についても、上ブレを指摘する声が出始めている。

 株価は5月9日に年初来高値1230円を付けるなど高値圏にあるが、非連結PERは13倍台と依然割安感がある。



しまむら(8227・100株)

大量出店戦略で高成長続く、大和・ゴールドマンが攻勢、1万円台をうかがう


 アパレル小売りでは一人勝ちの様相を呈してきたしまむらが脚光を浴びている。ゴールドマン・サックス証券では、06年2月期業績の最高決算見通しを受けて、投資判断を「インライン」(中立)から「アウトパフォーム」(買い)に引き上げ、中期1万円台をうかがう構えだ。大和でも強気姿勢を堅持している。

 同社は実用衣料の専門店「ファッションセンターしまむら」をチェーン展開するアパレル小売大手。強みは「値ごろ感」がある商品を提供できる仕組みがあること。

 量販店と同等ないしはそれ以上の品質で、ファッショントレンドも加味した商品を、割安な価格で提供し、なおかつ高い利益率を確保している。

 こうした高品質と低価格の両立は、@国内アパレル小売業者数のバイイングパワー(取扱数量ベースの全国シェアは靴下11%、パジャマ及びエプロン9%等)を背景に、仕入業者に対して有利な立場で価格交渉やデザイン要求が可能。A物流の合理化(海外生産品の現地工場でのタグ付け・仕分け、海外生産工場から国内物流センターへの直接納入、積載効率の改善)。B単品商品管理の徹底による値下げ率の極小化(同業他社の約半分)。

 05年2月期連結決算は、経常利益が240億円と前々期に比べ18%増え、4期連続で過去最高を更新した。大量出店の効果が出たうえ、流行商品の品揃え強化やテレビコマーシャルを始めた効果で既存店売上高や粗利益率が上向いた。年間配当を前々期より10円増やして68円とした。

 2006年2月期も大量出店を継続し、経常利益は前期比16%増の279億円と過去最高を更新する見通し。同社は20%程度の配当性向を目安としており、今期の年間配当は7円増の75円程度とする公算が大きい。