|
平成17年06月30日(木) |
日東電工(6988)
液晶用フィルムの生産拡大を評価、日興シティ証券が7,900円目標に推進
日東電工が2006年7月までに液晶用フィルムの生産を拡大するとの報道を契機に脚光を浴びている。各社のアナリストが一斉に注目度を強めており、大和證券では「MARKET WATCH」で取り上げ、今後も液晶テレビ普及の恩恵を受ける部材メーカーの一つとして、過去最高益更新が見込まれると指摘、株価の一段高を示唆。日興シティ証券も7,900円説を打ち出している。
同社はテレビなどの重要な部材の一つである偏光フィルム(特定の方向に振動する光のみを遮断する働き)などを手がける粘着技術をコアに高い競争力を有しており、世界シェア55%を持つ。
同社では液晶テレビを中心にフィルム需要が1年以内に50%程度伸びるとみている。そこで2006年7月までに、液晶表示装置(LCD)に使う光学フィルムの生産を拡大する。
約185億円をかけて広島県尾道市と三重県亀山市の工場を増設し、生産能力を現在の約1.6倍の年8300万平方メートルまで引き上げる。投資時期を約半年前倒しして、主に液晶テレビ需要の伸びに対応する。
今回の設備投資は、いずれも前工程と呼ばれるフィルム製造向け。主力の尾道工場では鉄骨3階建てで延べ床面積約2万7000平方メートルの生産拠点を増設し、生産性の高い延伸機を導入する。新たな生産能力は、年2100万平方メートル。独立した物流拠点も建設する。
亀山工場では鉄骨3階建てで6300平方メートル拠点を増設。新たに900万平方メートルの年産能力を確保する。同工場はシャープが06年秋に稼働予定のテレビ向け液晶パネルの新工場に近い。
05年3月期の売上高は5149億円(13.7%増)、営業利益は700億円(25.2%増)となり、ほぼ想定通りとはいえ、好調な業績推移を確認できる内容となった。
偏光フィルムにおいて、位相差板付きタイプ・高機能フィルム付きタイプといった高付加価値品がけん引役となっている。歩留まりの向上、売上増による操業効果なども寄与している。
3月の単体月次売上高は前年同期比1%増となり、前年比伸び率は徐々に減少傾向となっている。ただし、これは比較対象の昨年3月までの急ピッチな上昇の反動といった面が大きいと思われる。
実際に偏光フィルムをけん引役に前月比では12%増(平均的に3月の売上は2月対比で7%程度伸びる傾向)となっている。回復モメンタムが徐々に高まってきているといえよう。
06年3月期以降も好調な業績推移が見込まれる。背景としては、高付加価値品を中心とした偏光フィルムを更なる需要拡大、価格下落率の縮小、生産性の改善効果が続くことが挙げられる。
連結範囲の変更などがあるものの、会社側は13%増収、10%営業増益を見込んでおり、先行き懸念が高まっているハイテク業界において、同社の堅調ぶりが極立つ。
今後、液晶テレビの本格普及による恩恵を最も受ける部材メーカーの一つとして、過去最高益更新が続くことが予想される。株価は堅調な業績推移、モメンタムが足元回復傾向にあることなどを織り込む展開が見込まれる。
ダヴィンチアドバイザーズ(ヘラクレス・4314)
年利益成長率50%を予想、複数大手証券が 37万円指向
ダヴィンチアドバイザーズは今12月期業績見通しを上方修正したのを機に見直し機運が急速に強まっている。連結経常利益は従来予想比18.2%増に増額。これを受けて日興シティ証券が投資評価「1H」(買い/高リスク)とし、目標株価を30万円から37万円に引き上げている。
また、東洋証券でも投資判断「BuY」(買い)としている。不動産流動化ビジネスを手がける各社のバリュエーションはPER25〜30倍でほぼ評価が定着しつつあり、今後も高い利益成長に伴った株価上昇が図られると読んでいる。
同社では2008年12月期を最終年度とする、今後4ヵ年の中長期経営計画を策定した。最終年度の業績計画は売上高161億円(04年12月期比約3.8倍)、経常利益110億円(同約4.1倍)、また運用資産残高は前期末2140億円から、08年12月末に1兆719億円への拡大を前提とするなど、非常に強気の内容である。
戦略の骨子は「川上・川下戦略」に基づく運用資産の大巾な積み上げ。川上ではバリューアップ型ファンドで物件を取得し、それを川下では自社でリート(不動産投資信託)を組成・上場し出口戦略として活用する。
この戦略の要となるのが、昨年立ち上げた総資産規模4000億円の不動産ファンド。一ファンドで大きな器を持つことは、物件取得において大きな意味を持つ。対象とする50億〜500億円の物件規模では取得先も限られるため、目立った競合は発生しないという。
実際、同ファンドの物件組み込みに関しては「外部からの持ち込み案件の精査で手いっぱい」の状況と会社側では説明する。
最終年度の目標値に関しても、現状において既に見えている部分も多く、無理なく達成が可能と考えられる。
また、業績計画に関しても、インセンティブフィーなどは比較的保守的な前提を置いている。こうした上積み余地を考慮し、中期的な利益成長率としては、会社側前提(年率約40%)を上回る年率50%程度が予想される。
|
|
|
|